前編: OTとLoRaWANの融合
Dragino 社から画期的な新製品 MS48-LR（LoRaWAN ゲートウェイ）が発売されました。当社 EC サイトでもご案内させていただいております。
MS48-LRは、LoRaWAN ゲートウェイ機能に留まることなく、従来の OT（Operational Technology）システムと IoT 技術、特に LoRaWAN を融合させる革新的なソリューションの一つです。
MS48-LRの真の価値は、OT と IoT の世界をシームレスに統合できる点にあります。この製品がもたらす可能性と実際の応用例を詳しく解説するため、2 回にわたってブログを展開したいと思います。
- 第 1 回（本記事）：OT の世界、LoRaWAN、そして MS48-LR の概要と価値提案
- 第 2 回（次回）：MS48-LR を使用した実機デモンストレーション
1. MS48-LR の主な特徴
MS48-LR の主な機能・特徴についてご紹介します。
2. LoRaWAN ネットワークサーバを内包
3. アプリケーションサーバとして Node-RED をデフォルト内包
4. Modbus RTU/TCP のサポート
5. 産業用途に意識したハード設計
要する、産業用途でしばしば活用されるModbus と LoRaWAN の橋渡し的存在です！
2. OT（Operational Technology）の世界
OTとは、産業用の制御システムや監視システムを指します。IT がデータや情報の処理に重点を置くのに対し、OT は物理的なプロセスの制御に焦点を当てています。
代表的な産業用プロトコルとして、Modbusや BACnet などが存在します。IT 系ではあまりお目にかからないプロトコルです。
- Modbus：シンプルで堅牢な通信プロトコル。多くの産業機器で採用されている。
- BACnet：ビル自動化や制御システム向けの通信プロトコル。
また、必ず登場する機器が、PLC（Programmable Logic Controller）です。PLC は、産業用制御システムの中心的役割を果たす機器です。入力信号に基づいて、プログラムされたロジックに従って出力を制御します。多くの場合、ラダー言語と呼ばれる、IT エンジニアには馴染みの薄い言語でプログラムが記述されることが多いようです。
これらの機器やプロトコルを利用するOT システムは、「高い信頼性と可用性」・「リアルタイム性」・「長期運用を前提とした設計」などの特徴が挙げられます。
高い信頼性ということからも想像される通り、無線通信よりは有線通信が重んじられていたのではないでしょうか？
私も、OT の世界は素人なので、想像の域を脱しませんが…
3. OT と LoRaWAN が出会う時
このTechblogサイトをご覧の皆様には馴染みの LoRaWAN についてです。
LoRaWAN は、言わずもがな、低消費電力・長距離通信が可能な IoT 向けの無線通信プロトコルです。特徴としては、以下のようなことが挙げられます。
2. 低消費電力（バッテリー駆動で数年間動作可能）
3. 低コスト
ご承知の通り、LoRaWAN を利用することで以下のようなことが実現可能です。
- 電源の確保が困難な場所でもデータ収集
OT の世界に LoRaWAN を融合したくなりますよね？
ただ、無線通信やITの世界とは疎遠なOTの世界に、LoRaWANを導入するには、いくつかの課題があります。
2. データフォーマットの変換
3. 既存システムとの互換性
4. セキュリティ
つまり、既存のインフラに大きな変更を加えずに導入可能なのか？ということです。
4. Dragino MS48-LR を活用するメリット
すでにご説明した通り、MS48-LR は、Modbus と LoRaWAN の橋渡しをする製品です。
- LoRaWAN ネットワークを通じてデータを Modbus インタフェースに変換
MS48-LRを活用することで、OT の世界に LoRaWAN をシームレスに導入することが可能となります。これにより、産業機器の監視や制御の効率化、予防保全の実現、コスト削減などが期待できます。
次回は、実際にMS48-LRを使用したデモンストレーションを通じて、具体的な設定方法や利用方法をご紹介します。
なお、MS48-LRは、当社 EC サイトでお買い求めいただけます。
参考情報
- Dragino MS48-LR 公式マニュアル
- LoRa アライアンス 公式サイト
- Modbus Organization 公式サイト