ChatインタフェースとLLMで広がるデータビジュアライゼーションの可能性
はじめに
日々、自社の中の情報や、業務システムにある情報を、どのような方法を閲覧するでしょうか?企業内ポータルサイトで検索したり、専用のダッシュボードを開いたり、あるいはファイルサーバを探したり…。今回は、そんな「情報へのアクセス方法」について、すでに使うのが当たり前になりつつあるあれの観点から、その可能性を考えてみたいと思います。
Chatインタフェースの進化
Slackの登場とその衝撃
約10年前、Slackが企業向けコミュニケーションツールとして登場したとき、私はある種の「予感」を感じました。当時、企業内の情報共有といえば、イントラネットのポータルサイトや、部署ごとの共有フォルダが一般的でした。
Slackの革新的だった点は、単なるチャットツールではなく、外部システムとの連携を前提とした設計思想にありました。APIを通じて様々なシステムと連携し、チャットという自然な対話の中で情報にアクセスできる可能性を示したのです。
「こうなったら便利だろうな」という想像
当時、私はこんなことを想像していました。
「先週までの事業数値をグラフにして教えて」
そう話しかけるだけで、必要なデータが可視化されて表示される。まるで人間の同僚に尋ねるように、システムと対話できる…。しかし、当時の技術では、そこまでの自然な対話は難しかったのです。
LLMがもたらす新しい可能性
生成AI時代の到来
そして時は流れ、私たちは生成AI、特にLLM(大規模言語モデル)の時代を迎えました。ChatGPTに代表される最新のAIは、人間の自然な問いかけを理解し、適切な応答を返すことができます。
これは、10年前に想像していた「自然な対話でデータにアクセスする」という夢を実現する重要な要素となりました。
IoTデータ可視化デモの実装
そこで、10年前の妄想を、デモシステムとしてを構築してみました。
- IoTセンサーからのデータを収集
- ユーザーがChatインタフェースで自然な言葉で問いかけ
- LLMがその意図を理解し、適切なデータを抽出
- データを分析し、最適な可視化方法を選択
- 結果をグラフや図表として表示
デモンストレーション
実際のデモの様子をご覧ください。
このデモでは、例えば以下のような対話が可能です。
- 「今週の温度変化を折れ線グラフで見せて」
- 「湿度と温度の相関を散布図にして」
- 「先月との比較を棒グラフで表示して」
今後の展望
このアプローチには、いくつかの重要な利点があります。
- 直感的なアクセス: 専門的な知識がなくても自然な言葉でデータにアクセスできます
- コンテキストの理解: LLMが会話の文脈を理解し、より適切な可視化を提案できます
- 柔軟な表現: データの特性に応じて、最適な可視化方法を動的に選択できます
まとめ
10年前に想像していた「Chatで情報にアクセスする未来」は、LLMの登場によってついに現実のものとなりつつあります。今回のデモは、その可能性の一端を示すものに過ぎません。
今後は、より複雑なデータ分析や、リアルタイムデータの可視化など、応用範囲は更に広がっていくでしょう。皆さんも、自分の業務やプロジェクトで、このような新しいインタフェースの可能性を探ってみてはいかがでしょうか?