ローコードプラットフォームについて調べてみた
多種多様なローコード(ノーコード)プラットフォームが現れ、今後ますますローコード開発は増えていくと考えられます。
そこで、各種ローコードプラットフォームで出来ることや出来ないこと、得意なことを調べて、今後の開発の参考にしたいと思います。
調査対象の選出
とはいえ、既に膨大な数のプラットフォームが存在するので、網羅的に調べることは難しいです。弊社のアプリケーション開発では、何らかのデータベースを利用することが多いので、データベース系のプラットフォームに絞り、以下の3つを参考に対象を選出しました。
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GartnerのMagic Quadrant
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Forrester ResearchのForrester Wave
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ChatGPTによる回答
赤丸で囲った3つは、全ての調査で重複したものです。これら3つに加え、国産のプラットフォームとして著名なKintoneと、過去に弊社で利用実績のあるAppSheetおよびAirtableを調査対象としました。
調査の観点
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価格
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日本語に対応しているか
インターフェースやエラーメッセージが日本語に対応していると使いやすいです。
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作成の自由度とプラットフォームの学習コスト
アプリのGUIに対する細かな要望や、ある程度のプログラムが必要な処理が実装可能であるか、その一方でプラットフォームを扱う学習コストを低く抑えられるか、という観点です。
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外部データベースとの連携
プラットフォームが提供する以外のデータベースを利用できれば、データベースを介して他のアプリと連携出来る可能性があります。
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想定される用途
各プラットフォームについて
一覧
名称 | 価格 | 日本語の有無 | 開発自由度 | DB連携 | 想定用途 |
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OutSystems | 月額1,513USD | UIの日本語可 | 高 | 内部DB外部DB(MySQL, PostgreSQLなど) | WebアプリMobileアプリ |
PowerAppsキャンバス | 月額625円〜 | 日本語可(エラーメッセージを含む) | 高 | コネクタで様々なDBと連携可能 | Webアプリ(MS365を利用している場合) |
PowerAppsモデル駆動 | 低 | 内部DBのみ(Dataverse) | データ管理(MS365を利用している場合) | ||
Appian | 月額75USD | UIの日本語可 | 高 | 内部DB外部DB(ORACLE, PostgreSQLなど) | ワークフロー管理 |
Kintone | 月額780円〜 | 日本語に対応 | 高 | 外部DBにバックアップが可能 | 社内業務管理 |
AppSheet | 月額5USD〜 | UIの日本語可 | 低 | 内部DB外部DB(スプレッドシートなど) | データ管理 |
Airtable | 1,200レコードまで無料 | UIの日本語可 | 低 | 内部DB(自身) | 簡易DB |
詳細
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用意されているUIのパーツを組み合わせて画面を作成します。モジュールを細分化することで、複数人での並行した修正を可能としています。
最大ユーザー数の制限が無いためか費用が高く、ユーザー数の多い大規模アプリケーションがターゲットになりそうです。今回の調査対象の中では唯一、App StoreとGoogle Playで配布可能なモバイルアプリが作成できます。
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Microsoftのシステムと連携するなら、これが選択肢になると思います。「共同編集機能」を有効にすることで、ExcelやWordのように複数人で同時にアプリを編集できます。編集した箇所はリアルタイムで他のユーザーに反映されます。
「Microsoft App Center」などを通じての配布となりますが、モバイルアプリの作成もできます。Microsoft 365でも利用できるプラン(E1, E3, E5など)があり、プラン内で利用可能です。最小1ユーザーから利用できるため、小規模のアプリ開発にも使えそうです。
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内部DB「Dataverse」をモデルとして、それに連動する形で作成します。 データ構造を決めることで、ほぼ自動的にアプリケーションが作成されるため、学習コストが低いです。
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ワークフロー図を描くことでアプリケーションを作成します。最小100ユーザーからであるためか料金設定が高めであり、比較的ユーザー数の多いアプリ向けと考えられます。
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業種や業務ごとにアプリストアからサンプルが多数用意されています。外部サービスとの連携も可能なプランもあり、APIを用いて様々な連携が可能です。国産のため最初から日本語にも対応しているのは大きなメリットです。
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Googleが提供するプラットフォームで、簡易的なモバイルアプリ(Androidだけでなく、iOSも対応)を作成する場合の選択肢に入りそうです。一方、複数人での編集・修正は想定されていないようです。
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基本的には簡易DBという感じで、APIを用いてデータを管理する用途に向いていると考えます。ただ、フリープランではレコード数が1200件まで、有償プランでも記録できるレコード数が多いとは言えないため、上限を超えたデータは外部に退避させるなどの運用が必要となります。
プラットフォーム選択の考え方
アプリケーションの提供形態(モバイル/Webなど)や用途を前提とすることは当然ですが、アプリ開発者の観点から見ると、
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画面を作成する際の自由度
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学習コスト
の関係がプラットフォーム選択のポイントになりそうです。今回の調査対象なら、例えばOutSystemsは画面の自由度も学習コストも高そう、逆にAppSheetは画面の自由度は低いが比較的すぐに習得できそう、という感じです。
料金面ではユーザー数に対して課金しているプラットフォームが多いようです。最小ユーザー数を多く設定しているプラットフォームの場合、ユーザー数が多いアプリでないと費用対効果が低いように思いました。