AGU2022参加報告
12/12~16にシカゴでAGU(American Geophysical Union)のFall Meetingが開催されました。研究成果をポスター発表し、オンラインで参加してきましたので、紹介します。
AGU Fall Meetingとは
AGUとは、地球科学や宇宙科学分野の推進を目的としたアメリカの地球物理学連合で、世界中から約13万人のメンバーが参加しています。毎年12月にはFall Meetingを開催し、100カ国以上から25000人以上もの参加者が研究発表やネットワーキングのために参加する、地球・宇宙科学分野で最大規模の学会となります。2022年はシカゴで現地開催され、オンラインとのハイブリッド形式でした。
分野
発表形式は口頭とポスターの2種類があり、以下のセクションに分かれます。
Atmospheric and Space Electricity
地球の帯電大気・宇宙環境
Atmospheric Sciences
成層圏・対流圏を中心とした大気の物理・化学・ダイナミクス
Biogeosciences
生命科学および地球システム科学
Cryoshere Sciences
地球表面の氷河・海氷
Earth and Planetary Surface Processes
気候や地殻変動を及ぼす地表内部のダイナミクス
Earth and Space Science Informatics
地球科学・宇宙科学分野でのデータ管理、解析、計算モデリング
Education
地球科学・宇宙科学分野での教育
Geodesy
地球の幾何・構造・重力特性およびそれらのダイナミクス
GeoHealth
地球環境と人間健康の相互作用
Geomagnetism and Paleomagnetism and Electromagnetism
地球コアから他惑星や宇宙へ発される磁場
Global Environmental Change
長期間スケールでの地球変動、人間の影響
Hydrology
陸水のサイクルおよびそれらによる科学プロセス
Mineral and Rock Physics
地球および惑星内部の物質特性
Natural Hazards
地球物理学的な災害
Near-surface Geophysics
地球表面近傍物理学
Nonlinear Geophysics
数学的ツールなどを用いた非線形地球物理学
Ocean Sciences
海洋科学
Paleoceanography and Paleoclimatology
先カンブリア時代から現代までの地球気候・環境
Planetary Sciences
宇宙ミッション・惑星科学
Science and Society
人類を豊かにするための社会と地球・宇宙科学のコネクション
Seismology
地震学
Space Physics & Aeronomy
太陽・太陽圏・太陽系の上層大気および磁気圏の物理
Study of Earth’s Deep Interior
地球深部の内部構造
Tectonophysics
地殻物理学
Volcanology, Geochemistry, and Petrology
火山学・地球化学・岩石学
発表紹介
本学会は現地時間で開催のため、残念ながら時差の関係でオンタイムでの発表はあまり聞けませんでしたが、終日公開されているPOSTER GALLERYを拝見しました。特に、弊社の関心と関係のあるEarth and Space Science Informatics
で興味深かった研究を紹介します。
Multi-spectral Imagery in Senegal
Minh Tri Le, Konrad Wessels, Jordan Caraballo-Vega, Nathan Thomas, Margaret Wooten, Mark Carroll, Chris S.R. Neigh
George Mason University, NASA Goddard Space Flight Center, University of Maryland
- 従来の中解像度ではなく、WorldViewを用いた高解像度の衛星画像の土地被覆分類。
- NASAのデータプラットフォームを用いて、セネガルの農地をU-Netでセグメンテーションを行った。
- 学習データを増やした結果、学習精度は向上したが、テスト精度は頭打ちとなった。原因として、学習データに含まれない大気状態や一意の見え方の画像がテストデータに含まれていることが考えられる。
Quantum Enhanced Neural Networks for Satellite Image Classification
Abhinav A, Ashutosh Kumar Jha
Indian Institute of Remote Sensing, Indian Space Research Organization, Dehradun
- 衛星画像の分類を、通常の機械学習と量子機械学習で比較した。
- Sentinel2のBhuvanタイルデータセットを用いた。
- 学習データが少ない場合、量子機械学習の方が高い精度となり、データが少ない場合有効であることが分かった。
所感
今回は前回のIACに引き続き、地球・宇宙科学分野で最大規模の学会に参加しました。膨大な研究分野があり、専門外の発表を観ることも面白く、勉強になりました。しかし、オンラインではまだまだ不自由が多く、次回は現地参加してネットワーキングや直に発表を聞けるように精進していきたいです。