嗜むシリーズ:Sigfoxを嗜む
毎日、極暑ですね。2022 年、後半戦の始まりです。。。
さて、日中屋外では何もできないので(元々やってないが)、ガジェットを嗜むシリーズをお届けしたいと思います。
今回は、LPWAN 界隈でよく耳にするSigfoxの事始めです。
業界の方はご存知ですが、この Sigfox について、今年初め、ショッキングなニュースが流れました。「破産申請した」というニュースでした。
当社はSigfox に大きく依存しているわけではありませんが、それにしても驚きでした。つまり、「IoT」という分野が事業として成り立たないのでは?それほどニーズはないのでは?と考えさせられたからです。
ちなみに、その後シンガポールの Sigfox オペレータであるUnabiz 社が Sigfox の新たなオーナーとなり、新しい船出を切ることが決まっています。
1. Sigfox って何?
ここでは詳述しませんが、LPWAN の代表的な技術・サービスであり、1 ヶ国に 1 社のみ、通信事業者として Sigfox 網サービスが提供可能です。日本では、京セラコミュニケーションシステム株式会社が事業者です。
従って、通信エリアは基本的に他力本願になります(基地局追加を申し出ることは可能なようです。条件面などいろいろ調整事項はあるようですが)。
当社メンバが主に勤務している高崎市のあたりは、「バリ III」で通信可能です。カバレッジ(青い部分)を見ると、なんとなく、人口カバレッジを意識しているのかなぁと想像されます(実態は分かりません)。
2. 主要 LPWAN との違いは?
LoRaWAN, LTE-M/NB-IoT, Sigfox, ELTRES について、日本での理解ということで、違いをざっくり説明します。
LoRaWANを除くと、基地局と NS(ネットワークサーバ)は各キャリアが提供するものであり、ユーザが自由に構築することはできません。一方でLoRaWANでは基地局とNSを含め、ユーザが自前のNW網を構築することができます(LoRaWAN 網を一部限定的に提供している事業者様もいらっしゃいます)。
3. 事始め
今回は、Sigfox の事始めです。上述の通り、LoRaWAN のように基地局(ゲートウェイ)を自分で設置することから始めなくても良いわけです。カバレッジを調べて、自分のエリアがカバレッジ内であれば良いだけです。
流れとしては、次の通りです。
まず、端末です。ともかく手軽に始めたかったので、USB ドングル型の Sigfox モジュール「SGUSBA」(マスプロ電工)を購入しました。
中央の綿棒みたいな棒が伸びている USB ドングルです。Win/Linux/Mac などの母艦とシリアル接続ができ、AT コマンドで自由にデータを送ることができます。なかなか便利です。
次に、Sigfox Buy ポータルサイトで通信サブスクします。 1 日あたりの通信回数、位置情報有無など選択ができます。今回は、1 日 50 回までの通信として、1100 円/年(税込)と控えめプランとしました。
4. Sigfox Backend Cloud で何するのさ?!
ここまでは、Sigfox 通信を味わう事前準備です。端末、通信サブスク購入が終われば、あとは諸々設定して、通信をしてみるだけです。
そこで登場するのが、Sigfox Backend Cloudです。LoRaWAN を常日頃嗜んでおられる紳士・淑女の皆様であれば、容易に類推できると思いますが、要するにTTN を代表とする LoRaWAN ネットワークサーバでございます。
Sigfox Backend Cloud で、自分の端末を登録し、外部の世界とやりとりする設定(外部連携とか Integration とか表現すると分かりやすいでしょうか)をします。Sigfox の世界ではCallbackと呼ぶそうです。
外部連携先は、AWS IoT, AWS Kinesis, MS Azure Event hub, MS Azure IoT hub, IBM Watson IoT Platform と「カスタム設定」があります。
詳細はこちらです。
5. IFTTTで連携してみる
手っ取り早く(これ以外はお金をかけず)実験したいので、連携方法として「カスタム」を選択し、IFTTTの webhook を叩くこととします。
カスタム Callback では、http で飛ばす、あるいは、email を送付するという方法も選べます(mqtt で飛ばす方法は見当たりませんでした)。
設定画面では、アプリ側にどのような形式でどのデータを飛ばすか?を指定できます。さながらPayload Formatterでしょうか。
なお、IFTTT 側では、当該 webhook が叩かれたら、該当する Google Sheet にレコード追記するように設定をしました。
Sigfox Backend Cloud でアップリンクメッセージを確認しつつ、IFTTT 経由で届いた Google Sheet 側のデータと比較をしてみました。
Sigfoxモジュールは、鉄筋コンクリートのテナントビルの一室に置いています。それでも、屋外のどこかにある Sigfox 基地局を経由して、データが届いている様子が確認できます。知らぬ間に、Sigfox 基地局がどこか近くに設営されていたんですね。
極暑が続く中、屋外ゲートウェイは安定して動作するのでしょうか?非常に過酷な環境になっていると想像できます。
バカの一つ覚えで LoRaWAN をご紹介するだけでなく、今回は Sigfox について簡単な使い方をご紹介してみました。
「こんなネタを書いてほしい〜」などあれば、ぜひお気軽にご連絡ください。お待ちしております。