雨量計システムについて
[この記事は,2019年2月27日に公開したものです]
弊社では降雨量を計測する「雨量計」を設置し,雨量データをクラウドに飛ばして可視化する仕組みを提供しております. 今回から数回に分けて,その仕組みや実際の設置を通して得られた知見をご紹介したいと思います.
上図が大まかな構成です.雨量計は「転倒ます型雨量計」を用いております.雨量計の先には,LTE通信モジュールが搭載されたArduinoであるWio LTEを接続し,カウントした雨量をLTE網を通してクラウド側に送信します.ネットワーク関連はSORACOM社のサービス(SORACOM Air,SORACOM Beam)を利用しております.サーバ側はtelegraf + influxDB + grafanaで可視化します.
雨量計からは2本のケーブルが伸びており,ハードウェアレベルでのノイズ対策用の簡単な回路を間に挟み,Wio LTEのGroveコネクタに接続します.
転倒ます型雨量計の仕組みは,日本庭園に設置されている「ししおどし」と同様です.まず,一定量の降雨が生じると,雨量計内部の「ます」が転倒します.その際,雨量計内部のリードスイッチが閉じ,回路が閉じて,Wio LTEのピンで電圧変化が生じます.これをパルス波としてソフトウェアで検出し,一定時間ごとにパルス波が生じた回数をカウントし,サーバに送信します.今回の雨量計の場合,1回の転倒で0.5mmの降雨があったことを意味するので,転倒回数÷2が降雨量(mm)になります.
簡単に言ってしまえばそれだけなのですが,実際に設置することを考えると,課題がいくつか出てきます.次回は特に,
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雨量のカウント方法,特にノイズフィルタ.上述のように,「ます」が転倒した際にパルス波が発生するが,パルス波とノイズとの違いをどのように考えるか.
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データ再送の仕組み.サーバあるいはネットワークの問題で,雨量データが送信できなかった場合,何らかの方法でデータを再送するにはどうしたら良いか.
という2つの課題に対する考え方についてご紹介します.