秋葉原で買った500円テスターDT-850B新旧比較と改修
常用していたテスターのテスト棒が断線
電子工作をするとき、テスター(デジタルマルチメーター)は電圧を監視しながら電流を測るときなど、複数台あると便利です。そのうちの1台のリード線が切れてテスト棒から抜けてしまいました。10年近く前、秋葉原で山積みされ500円で売られていたものでしたが、そこそこの精度で意外と使いやすかったので常用していました。付属のテスト棒は断線すると寿命となる安っぽい作りでしたが、補修しながら使っていました(写真1)。先日秋葉原に行ったとき、テスト棒を買い替えるなら新しいのを買った方がよいと思い、500円で出ているのを見つけて1台買ってきました。
使ってみると測定誤差が大きい
電子工作でよく使うDC電圧レンジで電圧を測定してみると誤差がかなりあるようでした。ほぼ正確な表示をする旧DT-850Bと比べてみると大きなずれがあります(写真2)。そこで中を開けて調べてみることにしました。
内部の新旧DT-850Bの比較
裏蓋を開けて基板を比較すると、旧DT-850Bに比べ、新DT-850Bはかなりローコスト化(というより手抜き)されているようです(写真3)。ヒューズも省略されており、これで200V以上のレンジや10Aレンジで測定をするのは恐ろしいです。基板上の大きな違いは以下でした。
(1) 旧DT-850Bにはあるヒューズが新DT-850Bでは省略されている
(2) 新DT-850Bではhfe測定用のトランジスタの足を差し込むソケットが実装されていない
(3) 新DT-850Bでは電圧測定の基準電圧を調整する半固定抵抗が実装されていない
特に(2)のトランジスタを差し込む穴だけあって、ソケットがないのはもう粗悪品としか言いようがないです。
基準電圧調整用の半固定抵抗の追加
ところで基板のパタンをよく見ると、82Ωの抵抗に並列に半固定抵抗を実装できるようなパッドが用意されていました。並列では82Ωより抵抗値を低くする方向に調整できますが、試してみると誤差はさらに拡大する方向でした。よって82Ωより抵抗値を高くする方向に調整できるように100Ωの半固定抵抗を直列に付加しました(写真4)。その結果、82Ωと合わせた抵抗値が115Ωあたりが誤差を小さくできる最適値でした(写真5)。
新DT-850Bのテスト棒について
後で気づきましたが、新しいテスト棒はプローブがテスト棒に差し込んであるだけで、プローブを強く引っ張れば抜けて、リード線の切れた箇所を補修ハンダできます(写真6)。今後リード線が切れても買い替えることなく補修が容易に行えることが分かりました。